2014年1月18日土曜日

ヨーク軍曹

ヨーク軍曹
Sergeant York
1941年 アメリカ 134分
監督:ハワード・ホークス

1916年。テネシー州の貧農のせがれアルヴィン・ヨークは働き者ではあったが信仰を持っていなかった。ところが怒りを抱いて殺人を決意した日に雷に撃たれ、そのことから神意の存在を悟って教会におもむき、聖書に浸って信仰を得る。その頃、ヨーロッパでは第一次世界大戦が進行し、やがてアメリカも参戦すると、ヨークもまた招集されることになる。ヨークは良心的兵役拒否を主張するが所属する教会組織の脆弱性から認められず(兼任の牧師が一人いるだけなので)、歩兵となり、銃を渡されると射撃の名手としての才能を発揮する。だがヨークは聖書の教えに基づいて殺人を罪悪と考え、そのヨークに対して将校たちはアメリカの正義と精神との折り合いを求め、そこでヨークは十日のあいだ、生れ故郷の山にこもって聖書と戦争とを合理的に折り合わせる。間もなくヨークとその部隊は西部戦線に送り込まれ、ドイツ軍との戦闘でヨークは仲間を救うために英雄的な働きをおこない、勲章を受け、英雄として帰国し、農夫となって国へ戻る。
英雄の話ではなく、回心の話なのである。ハワード・ホークスの演出はモダンでスピード感があり、無駄がない。ヨーク軍曹の信仰と実用的な選択は個人としては好ましく見える。


Tetsuya Sato