The We and the I
2012年 イギリス/アメリカ/フランス 103分
監督:ミシェル・ゴンドリー
ブロンクスの高校で夏休みの前の最後の授業が終わって下校する高校生がニューヨーク市営バスに乗り込んで大声で話す、優先席に腰を下ろす、子供から席を取り上げる。老夫人に向かって席を譲るように要求して受け入れられないと嫌がらせをする、ギターを演奏し始める、演奏しているギターを奪い取って破壊する、詩を朗読する、ゲームを始める、煙草を吸う、バスが渋滞で停車している隙にピザを買いにいく、など傍若無人の限りを尽くしているうちに恋愛関係が崩壊し、友情も崩壊し、一人が下り、二人が下り、気がつくとずいぶん人数が減っていて、なにやら孤独だという光景をひたすらにスケッチの連続で見せる。中学生に毛の生えたような高校生のボディゾーンを気に掛けないふるまいや傷つきやすくて痛々しい気持ちやらがとにかくわずらわしいけれど、そのわずらわしいところを最後まで見せる筆力はたいしたものだと感心した。出演者はみな好演していると思う。ただ演出上の必要からか、乗車時間が不自然に長くて(つまり、ほぼ上映時間分あるわけで)、このままフロリダあたりまでいってしまうのではないかと心配になった。
Tetsuya Sato