The Village
2004年 アメリカ 108分
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
森に囲まれた小さな村で病気で死んだ子供が墓に葬られようとしている。その墓石には没年が1897年と記されている。村は長老たちによって言葉静かに統治され、教会はなく、壁を飾る絵も飲酒や喫煙の習慣もない。不思議なことに長老たちにはそろって恐ろしい暴力にさらされた記憶があり、記憶は悲しみを引き、村にはいくつもの秘密があり、悪しきことは鍵付きの四角い箱に収められている。そしてその村を囲む森には何か恐ろしい存在が潜んでいて、その何かと村人たちのあいだには協約がある。村人が森を侵さない代わりに森の何かも村の領域を侵さないことになっていた筈が、その何かが怪しい気配を漂わせ、やがて村はずれの監視塔で鐘が激しく打ち鳴らされる。
話を紡いでいくシャマランの手つきがいいし、出演者の演技も素晴らしい。ダイアログはよく出来ているし、透明感のある撮影も美しいし、色彩設計もすごいし、衣装もセットも凝っているし、ということで、見ているあいだにとにかく好きな映画になった。心の痛みがまず先にあり、試練があり、回帰と回復が主要なモチーフとなっていく点で『アンブレイカブル』や『サイン』とおおむね同じ風土を背景にしているが、それが共同体として再構築されている点で、異様さはこれまでよりも一歩前進し、危険なまでに内向している。
Tetsuya Sato