Stanley Ka Dabba
2011年 インド 96分
監督:アモール・グプテ
ムンバイの、宗派がいまひとつはっきりとしないキリスト教系の学校に通う小学生のスタンリーは明るいふるまいに反してどうもどこかで虐待を受けているような気配があり、しかもお弁当を持ってこれない事情もあるようで食事の時間になると水道の水を飲んで空腹をしのいだり同級生からお弁当を分けてもらったりしていたが、スタンリーがお弁当を分けてもらっていることに気がついたヴァルマー先生はその事実に異様にこだわってスタンリーを叱りつけ、スタンリーに同情した同級生のアマンが四段重ねの豪華なお弁当を持ってくるとヴァルマー先生は今度はそのお弁当を奪い取ることに熱意を見せ、子供たちが何度となくヴァルマー先生の裏をかいてヴァルマー先生の食欲を裏切り続けるとヴァルマー先生はついに怒ってスタンリーを学校から追い出し、同級生たちはスタンリーを救うために動き始める。
最終的に見えてくるのは児童労働の恐ろしい実態で、映画はその問題に警鐘を鳴らしているが、スタンリーもまわりの子供たちも陽気でへこたれることを知らないので画面が暗くなることはない。語り口が少々つたないのと、ところどころに挿入される歌が微妙にうるさく感じられるという欠点があるものの、子供たちの演技はすばらしいし、なによりも料理の場面がものすごい。お弁当もとても豪華。ヴァルマー先生のほとんど妖怪のような行動がすさまじいが、あの文脈だとインドでは子供が持ってきたお弁当を先生が食べる、というのがふつうにおこなわれているように見える。実際のところ、どうなのだろうか。
Tetsuya Sato