2013年12月16日月曜日

セデック・バレ

セデック・バレ
Seediq Bale
2011年 台湾 276分(第一部:144分、第二部:132分)分
監督・脚本:ウェイ・ダーション

(第一部 太陽旗)台湾のセデック族が藩ごとにわかれて狩場を争って首狩りをしていたころ日本の統治が始まって文明化が押しつけられ、セデック族は抵抗を抑えつけられて首狩りを禁止され、首狩りが禁止された結果、戦士になる機会も勇者になる機会も失い、死後に虹の橋のかなたにある狩場に入る機会も失ったまま30年のときが流れ、不満が鬱積したところへ日本人巡査が(いかにもやりそうなことだが)不満を爆発させるような干渉をおこない、不満を爆発させたセデック族は頭目の一人モーナ・ルダオの指揮で1930年10月、霧社でおこなわれる運動会に集まった日本人を300人の戦士で襲撃し、およそ140人を殺害する(というか、血の儀式をおこなって首を狩る)。
(第二部 虹の橋)台湾総督府は陸軍、警官隊からなる討伐軍を霧社に送って霧社を奪回するが、山に入ったセデック族から手ひどい反撃を受け、増援に加えて航空機、野砲、毒ガス、迫撃砲などを投入し、さらに同じセデック族からモーナ・ルダオの敵を味方につけて山狩りをおこなう。 
いわゆる霧社事件の映画化。セデック族のハイランダーみたいな勇猛ぶりがかっこいい。戦いぶりはほとんど無敵という感じで、日本軍はもっぱら殺されるために登場する。とはいえ、これは抗日映画にありがちな大言壮語というよりも近現代史を背景に出現した民族叙事詩としてとらえるべきであろう。事実上の主役はモーナ・ルダオということになるが、おそらくは同じ理由からモダンな個性は排除されており、逆に日本人の周辺キャラクターのほうがステレオタイプながら書き込みが多い。決してまとまりがいいわけではないし、四時間半という上映時間は少し長いような気がしたし、技術的な難点(一部の撮影、特殊効果)もいくらか目についたが熱意のこもった力作だと思う。




Tetsuya Sato