Ronin
1998年 アメリカ 122分
監督:ジョン・フランケンハイマー
冷戦終結後のヨーロッパ。食いっぱぐれた元エージェントや自称プロが仕事を求めてうごめいている。まず、モンマルトルのうらぶれたカフェ。怪しい気配の男女が集い、一台の車に乗り込んで倉庫へ移動。ジェラルミンのケースを奪うというミッションが与えられる。指揮官の女はアイルランド人。雇われたのはフランス人、アメリカ人、ロシア人など多国籍の5名。まず武器の調達。セーヌ河畔でディーラーと接触し、だまし討ちにあう。激しい銃撃戦。結果としてイギリス人が脱落し、チームはケースを求めてニースに移動する。敵の護衛チームのレベルを調査して作戦を立案、第三者の迷惑を顧みずに狭い道でロケット弾、機銃を使用して敵のコンボイに襲撃を加え、またしても激しい銃撃戦。八百屋さんが巻き添えで倒れ、続いてニース旧市街でシトロエンとアウディのカーチェイス。カフェテラスが破壊され、激しい銃撃戦と爆発があり、ケースは手をすり抜けてアルルへ移動。ローマ時代のコロセウムで銃撃戦。今度は観光客が犠牲になる。赤穂浪士のファンタジックなディオラマが登場し、それから舞台はパリに戻り、市街地でBMWとプジョーのカーチェイス。この場面はものすごい。ケースは敵の手に戻り、まだその後も殺し合い。
フランケンハイマーがA級予算で作った「B級アクション映画」の大作。デ・ニーロとジャン・レノが渋い。ジョナサン・プライスの悪役ぶりもなかなかのものだが、使っている役者が役者なのだから、この人物にはもう少しひねりがほしかった。ちなみにこれは、昔だったらダーク・ボガートがやっている役ではあるまいか。ショーン・ビーンは例によってかわいそう。残念ながら脚本はあまりこなれていないし、サムライや浪人に関する蘊蓄はエキゾチックすぎてつきあえない。ほぼ全編、徹底したアクションのつるべ打ちなので、それを楽しめばよいのであろう。その範囲ではまったく裏切られることがないし、失業スパイのうらぶれた雰囲気もまたよろしい。
Tetsuya Sato