2008年 日本 80分
監督:入江悠
埼玉県深谷市?(劇中ではフクヤ市)に住む無職の若者が五人の仲間とともにヒップホップのグループ"SHO-GUNG"を結成してライブをしようと計画するが、仲間のうちの三人は乗り気ではないし、そもそも協力しようという気配も希薄だし、残る二人もバイトに忙しい様子だし、当の本人も新聞を切り抜いてライムのネタにしようとしても、いまひとつ心に迫るものがないという状態で、意気込みばかりが空転しているうちに仲間はばらばらになり、グループは空中分解するが、それでもあきらめないという気持ちをライムの乗せてラップをする。
決定的な問題として、音楽を題材に扱っている割には音声トラックの水準が低い。あきらかに一部の音声は同録したままで、ポストプロダクションを経た痕跡がない。背景が田舎であることがモチーフになっていたとすると、そのモチーフは明確に機能していないし、主人公の疎外感とも連結していない。状況に対して余計な人物が目立ち、状況を経過させるパフォーマンスを低下させている。題材自体は興味深いが、脚本の消化が悪いし、全体として見ると要領が悪い。頻繁に使われるフェイドアウトはテンポに対して配慮が乏しい証拠であろう。ラップ自体はそれなりに面白くできていると思う。
Tetsuya Sato