ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
2009年 日本 101分
監督:佐藤祐市
いじめにあって高校を中退し、八年間引きこもっていた若者が小さな向上心を頼りに小さなソフトウェア開発会社にプログラマーとして就職するが、そこは社長はいないも同然、リーダーは暴君、残りのメンバーも社会人として問題があり、そのようなストレスの高い環境で残業前提の短納期の開発ばかりを請け負うものだから相当に苦しい思いをすることになるが、生きることとはそういうことだと考えてまだ頑張ろうと決意する。
体力勝負で挑んで根性だけで状況を肯定されては困るような気もするのだが、このあたりの作りは『電車男』と同じであろう。嘘でもいいから、結論として社会化しなければならないのである。経験を踏まえて言うと、その社会化しているふりの部分がこの社会のいちばんの問題点であるような気がしてならないのだが、それはそれとして、映画について言えば序盤の音楽の使い方に少しく首をひねったものの、語りを一人称にまとめたことで説明過剰も適当に回避されているし、おおむねテンションが持続して鑑賞に耐える仕上がりになっている。ただ、背中を向けてから立ちどまって振り返るというあの演出、そろそろやめようと考えるひとはいないのか?
Tetsuya Sato