2015年11月22日日曜日

コードネーム U.N.C.L.E.

コードネーム U.N.C.L.E.
The Man from U.N.C.L.E.
2015年 アメリカ/イギリス 116分
監督:ガイ・リッチー

CIAのエージェント、ナポレオン・ソロは東ベルリンを訪れて自動車整備工ギャビー・テラーの身柄を確保してギャビー・テラーの父親で核物理学者のウド・テラーの行方を探るとナチの残党がウド・テラー博士を働かせて核武装をたくらんでいることがわかり、これは東西両陣営の危機だということで、KGBから派遣されたイリヤ・クリヤキンとともにイタリアへ飛んで陰謀を探る。 
ナポレオン・ソロがヘンリー・カヴィル、イリヤ・クリヤキンがアーミー・ハマー、ウェーバリーがヒュー・グラント。いわゆる『0011ナポレオン・ソロ』の映画化だが、U.N.C.L.E.は組織の名前ではなく、ナポレオン・ソロとイリヤ・クリヤキンの暗号名ということになり、したがって本部ビルもなければアンクル・スペシャルもアンクルカーもない。スラッシュも登場しない、ということで、シリーズ序盤の雰囲気を踏襲した、ということになるのかもしれないが、60年代的な悠長さまで踏襲することにしたのか、少々だるい。シリーズ序盤の悠長さはどちらかと言えば低予算に起因しているはずなので、踏襲するにしても何かしらの工夫がほしかった。スプリットスクリーンはガイ・リッチーのサインなのかもしれないが、あまり効果を上げていないし、60年代という背景をわざわざ選択している理由もよくわからない。時代への関心がないような気がした。ヘンリー・カヴィルのナポレオン・ソロはいまひとつ余裕を欠いている。アーミー・ハマーのイリヤ・クリヤキンはロシア人に見えてこない。破綻があるわけではないし、とにかくバランスを保ってまとまっているし、ところどころにいいところもあるけれど、作品としての落としどころが見えてこない、というかぱっとしない。企画があったので、それをただ撮っただけではないのか、と疑っている。 



Tetsuya Sato