Shinderera
2015年 アメリカ/イギリス 105分
監督:ケネス・ブラナー
両親に愛されて幸せに暮らしていたエラは幼いうちに母を亡くし、エラが成長すると父はトレメイン夫人と再婚し、トレメイン夫人は二人の娘を連れてエラと父が暮らす家に乗り込んできて夜毎にパーティなどを開いて派手に暮らし、察するところこの再婚に嫌気がさした父はエラを置いて商用の旅に出て、その旅先で病で命を落とすので、夫を失って収入を断たれたトレメイン夫人は使用人を解雇してエラを使用人として扱い、さらに暖炉の灰をかぶったところからエラをシンデレラと改称し、母親の遺言を受けて優しさと勇気をもってけなげに生きるエラもトレメイン夫人のいやがらせに嫌気がさし、ある日、馬に乗って森へ走ると鹿狩りの途中の王子と出会い、意気投合しながらも互いの正体を隠して別れると、城では王子の花嫁選びが始まっていて、舞踏会を開いて花嫁を選ぶということになるが、エラが忘れられない王子はあれやこれやと理由をつけて招待客を王侯貴族に限らず庶民に広げ、未婚の娘が残らず招待されると知ったトレメイン夫人は娘のどちらかを王子につけようとたくらみ、舞踏会の当日、トレメイン夫人と二人の娘が着飾って出かける一方、家に残されたシンデレラの前には妖精のゴッドマザーが現われてかぼちゃを馬車に、シンデレラの友達のネズミたちを馬に、トカゲを従者に、アヒルを御者に変え、シンデレラの服を美しく整え、ガラスの靴を与え、城に到着したシンデレラは王子と再開して王子が王子であったことを知り、王子は最初のダンスをシンデレラに申し込み、二度目のダンスが始まるとシンデレラの手を取り、そのうちにシンデレラを連れて庭へ消えてしまうので、王子の政略結婚をたくらむ大公は不安を抱き、時計が0時を指しかけていることに気づいたシンデレラはガラスの靴の一方を残して城から逃れ、騎兵隊の追跡をかわして満ち足りた思いで家に帰ると残ったガラスの靴を屋根裏に隠す。
トレメイン夫人がケイト・ブランシェット、妖精のゴッドマザーがヘレナ・ボナム=カーター。様式的には適当に19世紀をしながら、なんとなく昔である一方、トレメイン夫人の服が微妙に両大戦間のようにも見える、という自由なデザインが結果としては様式的にも色彩的にもよくまとまっていて非常に美しい。ストーリーに若干の追加がおこなわれているが、れも展開を自然に見せる役に立っている。造形的にはきわめてモダンなのに、いまどき珍しいほど心優しい映画に仕上がっていて、動物たちもかわいらしいし、魔法が解けるところを最初から最後までやってくれるし、ということで言うことはない。
Tetsuya Sato