2016年1月18日月曜日

提督の艦隊

提督の艦隊
Michiel de Ruyter
2015年 オランダ 105分
監督:ロエル・レイネ

チャールズ2世のイギリスがオランダの海上交通路封鎖をたくらんで第二次英蘭戦争が始まり、オランダの首相となったヨハン・デ・ウィットはミヒール・デ・ロイテルを提督に任命、信号旗を大幅に拡充したミヒール・デ・ロイテルは英国艦隊に対して単縦陣と包囲陣を併用して勝利を収め、さらにテムズ川をさかのぼってチャタムに攻め入り、英国艦隊に焼き討ちをかけ、この結果、ブレダの和約が結ばれるが、ルイ14世がオランダ侵攻を計画するとチャールズ2世はドーヴァーの密約を交わして英国艦隊をオランダに送り、フランスがオランダの国土に侵攻するとオランダ国内ではヨハン・デ・ウィットに対する不満が強まり、デ・ウィット兄弟は虐殺されてオラニエ公ウィレム3世が政権を取り、引き続き提督を命じられたミヒール・デ・ロイテルは攻め寄せる英仏連合の艦隊に罠をしかけ、喫水の深いフランス艦はオランダ沿岸で次々と座礁、チャールズ2世はメアリ・スチュワートをウィレム3世に嫁がせ、ミヒール・デ・ロイテルは地中海に派遣されてフランスとの戦いで戦死する。 
開巻、デン・ハーグの海岸に集まった市民が沖で展開するシェヴェニンゲンの海戦を望見するところで目を奪われた。格別に予算がかかった映画ではないし、おそらくは復元ガレオン船一隻にCGで山ほども船を足して、被弾すると派手に木っ端が飛ぶ割には壊れている気配がないし、ハイスピードショットの頻度の高さも気になるものの、17世紀当時の艦隊戦を描こうという明確な目的に沿って絵が作られていて、船の細部の描写も含めて、そこのところは無条件に楽しいし、つまり見たまんまだったということなのか、人物がふつうにオランダ絵画しているあたりも面白い。序盤で戦死するトロンプ提督がルトガー・ハウアー、チャールズ2世がチャールズ・ダンス。なにしろチャールズ・ダンスなので、このチャールズ2世も見ごたえがあった。 
Tetsuya Sato