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くくくくく、とロボットが笑った。
民衆は圧政を受けて苦しんでいた。
国中に湧き起こった革命の叫びは、
黒光りする棍棒の力で打ち砕かれ、
金属製の無情な足に踏み潰された。
大いなる叫びはささやきに変わり、
ささやきはかすれて、風に消えた。
恐れが立ち上がって風をはらんだ。
くくくくく、とロボットが笑った。
非情な笑いが人々の耳を苦しめた。
酷薄な支配が人々の心を苦しめた。
人々は無情の棍棒に打ちのめされ、
無情の足によって踏みにじられた。
新たな王は心を持っていなかった。
新たな王は考えたりもしなかった。
ただプログラムにしたがっていた。
くくくくく、とロボットが笑った。
人々は怒りを隠して口をつぐんだ。
人々は恐怖におびえて顔を隠した。
絶望がのしかかり、希望は消えた。
しかし新たな希望が産声を上げた。
英雄は間もなくやって来るという。
英雄がロボットの王を倒すという。
人々は希望を糧に日々をしのいだ。
くくくくく、とロボットが笑った。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
民衆は圧政を受けて苦しんでいた。
国中に湧き起こった革命の叫びは、
黒光りする棍棒の力で打ち砕かれ、
金属製の無情な足に踏み潰された。
大いなる叫びはささやきに変わり、
ささやきはかすれて、風に消えた。
恐れが立ち上がって風をはらんだ。
くくくくく、とロボットが笑った。
非情な笑いが人々の耳を苦しめた。
酷薄な支配が人々の心を苦しめた。
人々は無情の棍棒に打ちのめされ、
無情の足によって踏みにじられた。
新たな王は心を持っていなかった。
新たな王は考えたりもしなかった。
ただプログラムにしたがっていた。
くくくくく、とロボットが笑った。
人々は怒りを隠して口をつぐんだ。
人々は恐怖におびえて顔を隠した。
絶望がのしかかり、希望は消えた。
しかし新たな希望が産声を上げた。
英雄は間もなくやって来るという。
英雄がロボットの王を倒すという。
人々は希望を糧に日々をしのいだ。
くくくくく、とロボットが笑った。
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