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ヒュンはギュンの前で資格を示して、ギュンの仲間に迎えられた。新入りの仕事だということで、しばらくのあいだは解体ばかりやらされた。麻酔を使わない解体は、する側にとってもされる側にとっても果てしなく辛い仕事だった。それでもヒュンは、怒り狂ったエルフの呪詛の叫びを聞きながら、黙々とナイフを動かした。そして前よりも酒を飲むようになり、前よりも喧嘩っ早くなっていった。
ある日、ギュンがやって来て、ガスボンベを担いでついて来い、とヒュンに言った。以来、ヒュンはエルフ狩りの担当になった。あいつはよく風を嗅ぎ分ける、とギュンはいつも話していた。ヒュンは黄色い化学防護服を着込んで出かけていって、森の犠牲を気にせずにボンベのバルブを開け放った。無色透明のガスに包まれて、森の鳥や動物がばたばたと倒れ、花々がしおれていく様子を眺め渡して自分の力を感じていた。
ときには商売敵を訪問した。敵の工場に踏み込んで出荷を待つ魔法玉に火を放ち、材料棚を破壊した。剣を抜いて工員を脅し、歯向かってくれば切り捨てた。はじめのうちは仲間の後ろについていたが、すぐに先頭に立つようになった。気がついたときには仲間を率いて雄叫びを上げて、敵の群れに斬り込んでいた。あいつは腕が立つ、とギュンはいつも話していた。
腕が立つことは誰もが認めていた。いずれはギュンの片腕になる、と多くの者が予想した。しかしギュンはヒュンを商売に関わらせようとしなかった。取引に同行させても、あくまで護衛の役にとどめて、金には決して手を触れさせようとしなかった。あいつには単純な仕事が向いている、とギュンはいつも話していた。あいつの資質は単純なことに向いている、とギュンはいつも話していた。そしてギュンが最初にそう言ったときには、ヒュンはすでにギュンに不満を感じていた。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
ある日、ギュンがやって来て、ガスボンベを担いでついて来い、とヒュンに言った。以来、ヒュンはエルフ狩りの担当になった。あいつはよく風を嗅ぎ分ける、とギュンはいつも話していた。ヒュンは黄色い化学防護服を着込んで出かけていって、森の犠牲を気にせずにボンベのバルブを開け放った。無色透明のガスに包まれて、森の鳥や動物がばたばたと倒れ、花々がしおれていく様子を眺め渡して自分の力を感じていた。
ときには商売敵を訪問した。敵の工場に踏み込んで出荷を待つ魔法玉に火を放ち、材料棚を破壊した。剣を抜いて工員を脅し、歯向かってくれば切り捨てた。はじめのうちは仲間の後ろについていたが、すぐに先頭に立つようになった。気がついたときには仲間を率いて雄叫びを上げて、敵の群れに斬り込んでいた。あいつは腕が立つ、とギュンはいつも話していた。
腕が立つことは誰もが認めていた。いずれはギュンの片腕になる、と多くの者が予想した。しかしギュンはヒュンを商売に関わらせようとしなかった。取引に同行させても、あくまで護衛の役にとどめて、金には決して手を触れさせようとしなかった。あいつには単純な仕事が向いている、とギュンはいつも話していた。あいつの資質は単純なことに向いている、とギュンはいつも話していた。そしてギュンが最初にそう言ったときには、ヒュンはすでにギュンに不満を感じていた。
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