2014年4月9日水曜日

イントゥ・ザ・サン

イントゥ・ザ・サン
Into The Sun
2005年 アメリカ 97分
監督:ミンク

東京で都知事が暗殺され、テロを疑ったFBIがなぜか捜査に動き出し、それにCIAの東京本部が協力する。
CIAの担当官がウィリアム・アザートンで、その現地要員として東京都内を動き回り、動き回っているうちにCIAもFBIもどうでもよくなって、ただもう私怨からヤクザの出入りに加勢するのがスティーヴン・セガールなのである。ちなみに製作総指揮と脚本もスティーヴン・セガールなのである。
若いヤクザが蛇頭と結託してヘロインの密輸ルートを開拓し、それで巨額の利益を稼ぎだして昔ながらのヤクザに喧嘩を吹っかけ、ついでにスティーヴン・セガールにも喧嘩を売る、というストーリーのようなものがあるものの、事実上すっちゃかめっちゃに近い状態になっている。とはいえ、目論見はヤクザ映画にありがちな画面を一式つなげて、そこへスティーヴン・セガールを埋め込んでいく、ということにあったようで、それはそれで、それなりの成果を上げているように見えなくもない。そしてその観点から並べてしまえば、これは『キル・ビル』よりも面白い、と言えなくもないのである。ともあれ、スティーヴン・セガールが関西弁まじりでぼそぼそしゃべったり「ばっきゃろー」とか叫んだりするし、殺陣は例によって例の調子だし、それでも乗りはどことなく『龍が如く』か、菅原文太か、という感じだし、それでもスティーヴン・セガールが立ち回りをやっていると、その背景ではテレビの画面になぜか自分の娘の出演映画(平成『ガメラ』)が大写しになっているし、寺尾聰、伊武雅刀、大沢たかお、豊原功補といった日本の俳優陣もなんだかいい感じでヤクザな人々をやっているし、ということで、いろいろと楽しめるところがたくさんあって、わたしは決して嫌いではない。



Tetsuya Sato