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2013年 アメリカ 92分
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
フランスの田園地帯でキャンプをしていたアメリカ人の一家が満月の晩に何者かの襲撃を受けて父親と子供が惨殺され、生き残った母親の証言をもとに近所に住む男が逮捕されるが、アメリカの人権派弁護士でフランスで活動するキャサリン・ムーアはこの逮捕を不当だと考えて弁護に乗り出して動物法医学の専門家を呼び寄せて調査を始めたところ、犠牲者の遺体に人間では加えられない力が加わっていること、容疑者は難病に冒されている可能性があること、などがわかり、裁判所の許可を取って容疑者を病院に移送して検査をすると検査のための光に容疑者が異常な反応を示し、次の瞬間には拘束を破って医師、検査技師に襲いかかって殺戮をおこない、病院から逃げ出して廃ビルにひそんでいるところを武装警官が包囲すると今度は警官を皆殺しにしてどこかへ逃れるのでキャサリン・ムーアとそのスタッフも警察の捜索に同行する。
ヘリコプターを撃墜する狼男というのは初めて見たような気がする。変身シーンはいちおうあるものの骨格がやや変化するというくらいで、おおむね人間のままの姿で怪物じみた行動をする、というところにおそらく主眼がおかれている。そうい意味では『アイ・アム・レジェンド』の感染者の扱いに近いし、終盤に登場する二人目はほとんどそのまんまの引用に見える。ホラー演出はよくも悪くも古典的で、脚本はどちらかと言えば古めかしい。カメラワークは一人称なのか手持ちなのか整理がついていないところがたくさんあって、視点が微妙に混乱している。変な話を入れないで、警察対狼男に絞っていたらもっと面白くなったのではあるまいか。
ところで弁護士チームのなかにどこかで見たような顔がいる、と思ったら『CHUCK』のユダヤ系インド人レスター・パテルことヴィク・サハイだった。
Tetsuya Sato