Slumdog Millionaire
2008年 イギリス 120分
監督:ダニー・ボイル
クイズ番組に出演して未踏の領域に達したジャマール・マリクは無学であるがために詐欺を疑われて警察に捕われてほとんど拷問に等しい尋問を受け、尋問にあたる警部の質問の一つひとつに答えることでジャマール・マリクの過去とクイズで正解を答えた理由が明らかにされる。
おそらくは『シティ・オブ・ゴッド』の雄弁さがスラムの撮り方をまったく変えてしまったのであろう。巧みに編集された前半は見ごたえがある。しかし後半に入るとハッピーエンドに向かってはなはだしく希釈されたインド映画風の刈り込みがおこなわれており、このあたりの作りには首を傾げた。悪いことにそうして首を傾げていると、なぜイギリス人がこんな映画を撮っているのか、といった疑問も起こり、どこか植民地主義的な不快な気配も感じ取ることになる。いや、つまり、最後になって踊るなら、上映時間をもう1時間か2時間追加して、最初から歌って踊るべきではあるまいか(もちろん、それをやっていたらアカデミー作品賞は取れなかったが)。インド人が自分たちで作っていたら、もっと面白かったはずである。
Tetsuya Sato