The Italian Job
2003年 アメリカ/フランス/イギリス 111分
監督:F.ゲイリー・グレイ
同名の映画のリメイクだけど、同じなのはタイトルと犯罪映画だということと、ミニが走るというところまで。洒落っ気もない。
まず冒頭、タイトルどおりに「イタリアの仕事」にするためにマーク・ウォルバーグ率いる泥棒の一味がヴェネチアで3500万ドル分の金の延べ棒を盗み出す。ところが仲間の1人のエドワード・ノートンが裏切りに走り、金を奪った上に金庫破りのドナルド・サザーランドを殺してしまう。これは若い犯罪者に結婚や投資を勧めたりする立派な金庫破りで、誰からも尊敬されていて祖国アメリカには適齢期の娘を残していた。それから1年後、その適齢期の娘がフィラデルフィアで金庫のテスターをしていると、マーク・ウォルバーグとその一味が現われてエドワード・ノートンの居場所を発見したと報告する。敵はロスアンゼルスで豪邸住まいをしているということなので、ここは1つ報復のために奪われた金を盗み出してやろうという話になって現地へ飛んで準備を進め、データを集めたり危険を顧みずに屋敷の中へ潜入したり、奪った金を運ぶためにミニ・クーパーのチューンナップなどもして、いよいよ決行という時につまらない事情から順延されたりするので見ているこちらは少々しんどい思いをする仕掛けになっている。
ヴェネチアのシーンはかなりよくできていたと思うけれど、どうもその後が続かない。裏切りのあたりですでにだれ始めていて、その先はミニが並んで走り始めるまであまり面白いことが起こらない。しかもミニの走りもいたって手短で、あまり愛が感じられないのである。あと、いちおう知能犯という設定になっていたようだけど、そういう風にも見えなかった。役者の使い方も感心しない。エドワード・ノートンとマーク・ウォルバーグの役を入れ替えるべきであった。あるいはマーク・ウォルバーグとドナルド・サザーランドの役を入れ替えて、マーク・ウォルバーグはさっさと殺してしまうべきであった。この監督は『交渉人』でも同じような下手糞さを発揮していたような気がするのである。
Tetsuya Sato