Pacific Rim
2013年 アメリカ 131分
監督:ギレルモ・デル・トロ
2013年、太平洋の海底にできた謎の亀裂から巨大怪獣が出現してアメリカ西海岸に上陸、どうにか通常兵器で撃退するものの次から次へと怪獣が現われては太平洋沿岸を襲うので、これでは手に負えないということで国際協力で環太平洋防衛軍が設立され、怪獣撃退のための巨大ロボット、イェーガーが開発され、人類はイェーガーを太平洋沿岸各所に配置して怪獣を撃退していくが、怪獣のほうが次第に強力になってイェーガーでも手に負えなくなってくると、人類の指導層はイェーガーを捨てて防壁の建設を選び、防壁の完成まで存続を許されたイェーガー部隊は香港の防衛を命じられて残る四機のイェーガーを結集し、すでに軍ではなくレジスタンスであるという自覚のもとに独自の判断で亀裂に対する直接攻撃を決める。
おそらく映画史上最大規模の都市破壊型怪獣映画であり、同時に映画史上最大規模の実写巨大ロボット映画であり、破天荒で豪勢な映像は破格の仕上がりであるというほかはない。そして都市破壊型の怪獣を登場させ、巨大ロボットと格闘をさせる、というばかげた選択をした段階でいわゆるリアリズムは放棄され、監督の妄念のみがスクリーンの上に炸裂する。陳腐なプロットも安っぽい人物設定もすべて確信によってデザインされたものであり、もはや批判を受け付けるようなものではない。仮にこの映画が駄作だとすれば、『バトルシップ』をはるかに超える駄作ということになるだろう。けなしているのではない。ほめているのである。そしてもちろんロン・パールマンは死んだりしないのである。