2013年8月25日日曜日

スター・トレック イントゥ・ダークネス

スター・トレック イントゥ・ダークネス
Star Trek Into Darkness
2013年 アメリカ 133分
監督:J.J.エイブラムス

前作から一年後、エンタープライズの艦長になんとはなしに収まったジェームズ.T.カークは未開種族が暮らす惑星を破滅から救うために規則違反をして艦長の座を追われ、エンタープライズはクリストファー・パイクの指揮下になって、ジェームズ.T.カークはその副官ということになり、そうしているあいだに艦隊の将校ジョン・ハリソンが艦隊に刃向ってロンドンにある基地を爆破し、対策を協議するために集まった艦隊の士官たちにも襲撃を加え、パイクが死んでなんとはなしにエンタープライズの艦長に返り咲いたジェームズ.T.カークはクリンゴンの支配地域に逃れたジョン・ハリソンを追いかけ、マーカス提督の命令のとおりなら中立地帯から魚雷を発射してジョン・ハリスンを抹殺するところをスポックの意見を入れてクリンゴンと交戦しながらジョン・ハリスンを逮捕してみるとジョン・ハリスンの正体は実はカーンで、マーカス提督はカーンの力を使ってクリンゴンとの戦争を準備していたことが明らかになり、ジェームズ・T・.T.カークがカーンを地球に護送しようとしているとマーカス提督が巨大戦艦に乗って現われてエンタープライズに攻撃を加え、ジェームズ・T・カークはカーンの協力を得てマーカス提督の陰謀を排除するが、それと同時にカーンが巨大戦艦を乗っ取ってエンタープライズに攻撃を加える。
ベネディクト・カンバーバッチが自分はカーンであると名乗りを上げたあとの一連の展開は82年の『カーンの逆襲』とほぼ同じだが、ただし肝心の前段がはぶかれているので、カーンの怒りも収まりが悪い。クリス・パインは魅力に乏しい、というよりも、せいぜい士官候補生くらいの判断力しかない間抜けを主力艦の艦長に据えておくのがよくわからない。ザカリー・クイントはすっかりスポックになっているが、この新しいスポックは情動に対して抵抗が乏しいのでいまひとつバルカン人に見えてこない。サイモン・ペッグのスコッティは素朴に楽しいし、ベネディクト・カンバーバッチは異様な重量感を見せているので、主役が違っていて、正直なところを言えば監督が違っていれば、もっといい映画になっていたのではあるまいか。
J.J.エイブラムスの演出は一定にコンセプトにしたがってまとまってはいるものの、たぶんそのコンセプトに問題があって、微妙に押さえるところがずれている、というのか、対立関係ばかりに目がいって、妙な小ネタには妙な配慮をする割には『スタートレック』である必然性を忘れているような気がしないでもないし、たぶん地球に粘着しすぎているし、たぶん暴力的すぎる。サンフランシスコ大破壊はまったく無用の場面であろう。IMAX 3Dで鑑賞したが、ふつうに2Dで十分だったような気がする。 
Tetsuya Sato