2016年5月7日土曜日

ミケランジェロ・プロジェクト

ミケランジェロ・プロジェクト
The Monuments Men
2014年 アメリカ 118分
監督:ジョージ・クルーニー

ハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークスは戦時下のヨーロッパにおける美術品の破壊と略奪に心を痛め、ルーズベルトに直訴したところ美術品保護を目的とした特殊部隊がストークス自身を指揮官として誕生し、メトロポリタン美術館の主任学芸員、建築家、美術収集家などからなる七名の隊員はイギリスで訓練を受けたあと、1943年7月、ノルマンディーに上陸、そこから各方面に分かれてナチス・ドイツによる美術品略奪の痕跡を追いかけ、メトロポリタン美術館の主任学芸員ジェームズ・グレンジャーは解放後のパリで親衛隊将校ヴィクトル・シュタールの配下にいたことで対独協力を問われていたクレール・シモーヌと接触、ストークスのチームが美術品を「解放」していることを知ったシモーヌは美術品の行方をグレンジャーに伝え、グレンジャーは戦争終結間近のドイツに入ってストークスに合流する。 
フランク・ストークスがジョージ・クルーニー、ジェームズ・グレンジャーがマット・デイモン、クレール・シモーヌがケイト・ブランシェット、ほかにビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、久しぶりのボル・バラバン。いわゆる戦争映画とは大きく異なる視点が面白いし、戦争による文明破壊ぶりが生々しい。非常によくできた模造品は画面によく生えているし、その隣に出現する大量の歯の詰め物がむごたらしさをよく表わしている。戦場の背景描写などもそれなりの風格があり、視覚的に手間のかかった作品であることはよくわかるが、当時のMFAAの活動をおそらく刈り込みすぎて伝えている。出演者の顔ぶれも悪くないのに、そのせいでどこか消化不良の感は否めない。 


Tetsuya Sato