Vychislitel
2014年 ロシア 86分
監督:ドミトリー・グラチェフ
人類が惑星進出を開始してから一千年、沼ばかりの惑星の沼の真ん中に入植した人々は中央コンピューターによって個人情報を監視され、総統による独裁の下、強圧的な体制に苦しんでいて、その惑星で犯罪を犯して最高刑を課された犯罪者は死刑にされるかわりに惑星でたった一つと思しきその都市から300キロ離れた幸福の島なる場所へ自力で移動するように指定され、最低限の食料、ロープ、ナイフ、金属製ポールなどを与えられた犯罪者たちが沼地へ進んでいくと地面の下からのこぎりの木、鞭ヤナギ、食人カビなどが襲いかかる。
地平の果てまで沼、という情景はそれなりに見栄えがするものの、その沼にひそむ生き物は生態系を備えてそこにいるというよりは作者の思いつきでそこにいるようにしか見えないし、淡々とサバイバルをすればよいものを、それでは足りないと思ったのか、追放者一行には国家転覆の大陰謀と暗殺の秘密指令がからみ、総統直々の命令で指令が動いている割にはどうにも要領を得ないし、陰謀の首謀者も自分で思い込んでいるほど頭がよろしくない。で、どちらともなく要領を得ないところでどこかの国の量産アニメのようにやたらと台詞で説明し、ロシア映画なので地平を眺めて嘆き悲しむ。60年代のSFコミック短編の出来の悪い映画化、という感じであろうか。
Tetsuya Sato