2016年5月4日水曜日

トポス(171) ヒュン、クロエとともに敵と戦う。

(171)
 再編成を終えたロボット軍団が侵攻を再開した。ブラスターの破壊力が強化され、ミサイル戦車と強化装甲された大型の戦闘ロボットをしたがえていた。
 再編成を終えたオークの軍団も侵攻を再開した。新たに調達した新鋭兵器で武装し、鉄の棍棒を担いだトロールの群れと魔法玉製造業者から派遣された傭兵部隊をしたがえていた。
 ミュンの武装勢力も再編成を終えていた。胸に希望を抱いた学生たちのグループが手に手に武器を持った労農大衆を扇動し、進撃する暴徒の群れを空からドラゴンが支援した。そしてその両翼はゾンビの軍団によって守られていた。
「まあ、変な話なんだけど」とピュンは言った。「状況からすると参戦する必要があったんだ。だって、ロボットもオークも平然と人間を殺していた。つまり俺たちの重要な供給源を潰してたんだ。だから俺たちの手で人間を守らなきゃならなかった。もちろん所長がすぐに電話をかけてきて、裏切りがどうとか感謝の心がどうとか言ったけど、まあ、正直なところ、最初から噛み合ってなかったんだよ、あのひととは。それにほら、邪悪な黒い力が言ってたけど、俺たちって本能の奴隷だからさ、本能がおもむくほうへ動くのさ」
 ロボット軍団は市街戦を繰り広げながらギュンを探して王宮を目指した。オークの軍団も市街戦を繰り広げながらギュンを探して王宮を目指した。ミュンの武装勢力もまた市街戦を繰り広げながらギュンを探して王宮を目指した。
 王宮へといたる道にはヒュンがいて、クロエとともに戦っていた。
「俺は運命を受け入れている。俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」

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