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ギュンが身長八十メートルの巨人に変身した。デュワっと叫んでヒュンを見下ろし、巨大な足でつぶしにかかった。クロエは引き下がりながらショットガンの引き金を引いた。トロールをも撃ち倒す強力な弾が巨人のつま先にはじかれた。ヒュンは剣を振り立てて斬りかかった。巨人の足の親指に斬りつけて傷を負わせ、そのまま足の下に転がり込むと巨人の土踏まずに向かって剣の先を突き立てた。巨人がデュワっと叫んでよろめいた。どうにか姿勢を立て直して転がりまわるヒュンを踏みつけようと足を下ろすが、ヒュンはそのたびに剣を振って傷を負わせた。斬られるたびに巨人はデュワっと声を上げた。巨人の足元を飛びまわっているあいだに、ヒュンは蓋に気がついた。巨人の左足の踵に鉄製の蓋があるのに気がついた。ヒュンは踏みつけてくる巨人の足をかわして巨人の踵にしがみついた。鉄製の蓋に手をかけて、渾身の力で引っ張った。蓋が動いて、隙間から湯気が噴き出した。ヒュンはさらに引っ張った。隙間に剣を差し込んで、剣の柄を引っ張った。音を立てて蓋が剥がれた。巨人がデュワっと声を上げ、ヒュンは地面に転げ落ちた。巨人の踵に開いた黒い穴から、溶けた鉛のような液体が湯気を立てて流れ落ちた。巨人はもう一度デュワと叫び、動きをとめて縮み始めた。変身が解け、ギュンが地面に転がった。ギュンの部隊がすばやく進んでギュンを囲み、一人が銃床で顔を殴ってスーパーグラスを取り上げた。
「降伏する」
両手を上げてギュンが言った。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
「降伏する」
両手を上げてギュンが言った。
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