S3-E33
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洞窟
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男は洞窟の奥で目を覚ました。長い夢を見たような気がした。男はからだを起こして薄闇のなかに目を凝らした。出口に向かって歩き出して、砕けた骨を踏みしだいた。恐ろしいほど乾いた音が男の耳に響いてくる。男は音を耳にしながら、出口に向かって進んでいった。目の前で光と熱が膨れ上がった。太陽が世界をあぶっていた。熱が男の目から水分を奪い、男は強い痛みを感じてまぶたを閉じた。男は洞窟の奥に戻っていく。骨が砕ける音を耳にしながら小さな岩の棚に這い上がる。腕を枕に横たわって、闇に向かって息をもらした。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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