Into the Woods
2014年 アメリカ/イギリス/カナダ 125分
監督:ロブ・マーシャル
子供ができないことで悩んでいるパン屋の夫婦の前に隣に住んでいる魔女が現われて子供ができない理由を明かし、呪いを解くためには赤いずきんと白い牛と金色の靴と金色の髪を手に入れなければならないということになり、森に出かけて赤ずきんに襲いかかり、ジャックに豆を渡して牛をだまし取り、たまたま見かけたラプンツェルから金色の髪を奪い取り、パン屋が夫婦でそういうことをしているあいだに継母と二人の義姉に虐げられているシンデレラは着々と目的に近づきながら目的の手前で違和感を覚えて舞踏会から遁走し、王子の兄と弟はそれぞれシンデレラとラプンツェルに恋をして苦悶を競う。それで中盤過ぎの「いつまでも幸せに」というところで終わっていれば相当な傑作になっていたような気がしてならないのだが、すでに清算が終わっている話に余計な尾ひれをつけて、まったく無意味な教訓を加えたところで一気に駄作へと傾いていく。歌は悪くないし、赤ずきんちゃんやジャックの泥棒ぶりも悪くないし、アナ・ケンドリック扮するシンデレラのモダンな迷妄ぶりも悪くないし、クリス・パインのふしだらな王子も悪くないのに、なぜそこで失速させなければならないのか、退屈な後半を眺めながら、ただひたすらに首をひねっていた。
Tetsuya Sato