Johnny Mad Dog
2007年 フランス/ベルギー/リベリア 98分
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
大人の兵士に扇動された少年兵士の一団が市民を殺害し、敵と戦い、国連軍に喧嘩を売り、ときには狙撃兵の餌食となる。さらには強盗もするし、強姦もする。背景は90年代のリベリアのように見えるが、状況はかなりのところまで抽象化され、モダンなアフリカの内戦における言わば一般的な形式が提示される。そして映画はそのようなものに対して安全な外側からコメントする無作法を早々と放棄し、淡々と場面だけをつないでいく。結果として映画的な意味での面白さも放棄されていることになるが、これはおそらく誠実な態度であろう。ドキュメンタリー調の映像の細部はきわめてよく作り込まれている。登場する少年たちは一説によれば経験者だという。その選択がもたらした成果はあきらかだが、見ていて少しく気になった。
Tetsuya Sato