Man on Fire
2004年 アメリカ・メキシコ 146分
監督:トニー・スコット
特殊部隊の出身で過去にどうやらやまほどの殺人をおこなった結果、希望を失い、酒浸りになった男ジョン・クリーシーは旧友の勧めでボディガードの職につき、メキシコシティで少女ピタ・ラモスの護衛をすることになる。クリーシーは少女との交流で心を開くが、その少女は犯罪組織に誘拐され、クリーシーもまた重傷を追い、身代金の引き渡しで起こったトラブルからピタが殺されたと聞いたクリーシーは、傷が癒えるのも待たずに復讐に立ち上がる。
旧友に扮するクリストファー・ウォーケンの台詞によると、デンゼル・ワシントン扮するクリーシーは死の芸術家であり、いままさにそのマスターピースの製作に取りかかろうとしているのだ、ということになるらしい。
クリーシーを影から支援するメキシコ連邦捜査局の捜査官がジャンカルロ・ジャンニーニで、その女友達として登場するレイチェル・ティコティンともども、実にいい味を出していた。ダコタ・ファニングもやや得意な風貌を含めて魅力的で、キャスティングのセンスはたいそうよろしい。脚本はブライアン・ヘルゲランド。トニー・スコットの演出はスタイリッシュで、短いショットの積み重ねにサスペンスを折り込みながらストーリーをよどみなく進行させる。スーパーインポーズを単なる翻訳字幕としてではなく強調表現として使う手法が目新しい。アクション・シーンはリアルで迫力があり、復讐者クリーシーの復讐ぶりも情け無用で手際がよい。二時間半近い長尺ながら、画面から目を放せなかった。
Tetsuya Sato