The Life And Death Of Peter Sellers
2004年 アメリカ・イギリス 125分
監督:スティーブン・ホプキンス
ジェフリー・ラッシュが四半世紀にわたるタイムスパンでピーター・セラーズを怪演している。ジェフリー・ラッシュ本人がすでに若くはないので50年代の描写はやや不自然に感じたものの、当然のことながらあとになるほどよくなってきた(もう一つ難を言うと、声の感じがピーター・セラーズとかなり違う)。で、そのジェフリー・ラッシュ扮するピーター・セラーズがひどくこどもじみた性格の持ち主で、自分で自分の家庭を破壊し、離婚と結婚を繰り返し、自らの人間としての無個性ぶりに気がついて、そうした自分自身を投影するかのように『チャンス』に取り組んでいく。
凝った手法を取り入れようといろいろと試みてはいるが、失敗が目立つ。察するに、スティーブン・ホプキンスはそれほど気の利いた監督ではないのであろう( 『プレデター2』)。とはいえ、こちらとしてはジェフリー・ラッシュが「ピーター・セラーズごっこ」をしているだけで面白かったし、そこへブレイク・エドワーズ(ジョン・リスゴー)、ブリット・エクランド(シャーリーズ・セロン)、ソフィア・ローレン、カルロ・ポンティ(一瞬だけ)、スタンリー・キューブリックなどが登場し(いや、どれもあまり似てないけれど)、絡む、というのも趣向としてはなかなかに楽しい。
Tetsuya Sato