2014年3月17日月曜日

ゴッド・オブ・バイオレンス/シベリアの狼たち

ゴッド・オブ・バイオレンス/シベリアの狼たち
Educazione siberiana
2013年 イタリア 104分
監督:ガブリエレ・サルヴァトレス

ソ連時代にシベリアから南西部(ウクライナ?)へ強制移住させられたウルカのコミュニティを背景に1980年代からソ連崩壊後の90年代後半まで、およそ10年間のタイムスパンで首領の孫に生まれたコリマがコミュニティに特有のモラルにもとづいた教育を受けて成長し、コミュニティが決めた復讐の実行者となって目的を果たすまで。 
コミュニティの首領がジョン・マルコヴィッチ、タトゥーのマスターがピーター・ストーメアで、特にピーター・ストーメアがこの怪人を嬉しそうに演じている。
製作はたぶんラウレンティス一族の関係者で監督もイタリア人、ロケはおもにノルウェイあたりと思われるが、川辺で水がびしゃびしゃしているところはタルコフスキーやミハルコフを研究したようで、それなりに雰囲気が出ていると思う。これでダイアログがロシア語だったらもっと雰囲気が出ていたはずだが、あいにくとDVDに収録されているのは英語版。演出に格別の冴えはないもののまじめで安定感があり、主人公ほか配役のよさにも助けられて見ごたえのある作品に仕上がっている。 序盤で「正直な犯罪者の家」に土足で上がり込んだソ連治安部隊を追い出しながら一族が歌う歌の歌詞のすさまじさには感動した。


Tetsuya Sato