Son of Rambow
2007年 フランス/イギリス/ドイツ 94分
監督:ガース・ジェニングス
母と妹、祖母と暮らすウィル・プラウドフットは一家が根本主義のプリマス同胞教会に属している関係で一切の娯楽を絶たれ、自分の聖書をひたすらに落書きで満たしていたが、同じ学校の言わば悪たれ小僧リー・カーターの家で偶然『ランボー』を見たことで言わば世俗の楽しみによる害悪をただちにこうむり、頭のなかを暴力的な空想で満たし、さらにそれを聖書の落書きに書きくわえていくと、BBCの少年向け映像コンテストに応募するという野心を抱くリー・カーターはウィル・プラウドフットの聖書を見てそれをそのまま映像化しようと考え、ふたりは血の兄弟のちぎりを結び、言わば悪たれであるリー・カーターが停学をくらうとカメラを預かるウィル・プラウドフットが自ら監督となって撮影を進め、リー・カーターは学校に戻って疎外感を味わい、ふたりの友情に傷がつくが、収まるべきものは収まるべきところに収まって、リー・カーターは家族と友情を取り戻し、ウィル・プラウドフットの一家は根本主義の悪夢から抜け出す。
ほとんどフランドル絵画から抜け出したようなプラウドフット家の異様な描写から小学校のこどもたちのいかにもイギリス的にかしいだ日常まで細部の描写が非常に楽しい。主役のふたりにしても、その周辺にしても子役が実に達者で感心した。同じ監督の『銀河ヒッチハイク・ガイド』もいちおう好きな映画だが、本人のこだわりが違うのか、仕上がりはこちらのほうが上であろう。
Tetsuya Sato