S7-E29
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夢
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昔むかし、海と空の向こうの国にいつも夢を見ている男がいた。男は獏に囲まれて暮らしていた。何十頭という獏に囲まれて、男は獏に夢を与え、獏は男に食べ物を与えた。空腹を感じると獏が置いた食べ物を食べ、満腹すると夢に戻った。男が困ることがないように、数頭の獏がいつも食べ物を探していた。食べ物を求めて家に押し入り、旅人を狙い、店を襲って商品を奪った。怒って追いかけると獏の群れに八つ裂きにされた。殺されて、切り分けられて、食べ物になった。あれは獏の神だと人々は言った。獏の神は獏の群れに囲まれて、いつまでも夢を見て暮らしていた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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