S7-E33
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隣人
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昔むかし、海と空の向こうの国に怠け者の木こりがいた。怠け者の木こりは働き者の木こりの女房が亭主に鍋をぶつけた経緯を聞いて、自分もやってみようと考えた。そこで女房に弁当を作らせると斧を持って泉に行った。ごろごろしながら昼を待って、昼になると弁当を食べて、食べ終わったところで斧を泉に投げ込んだ。すると泉の精が現われて、金の斧を差し出した。おまえが落としたのはこの金の斧かとたずねたので、怠け者の木こりは違うと言って首を振った。すると泉の精は銀の斧を差し出した。おまえが落としたのはこの銀の斧かとたずねたので、怠け者の木こりは違うと言って首を振った。すると泉の精は怠け者の木こりの斧を差し出した。おまえが落としたのはこの斧かとたずねたので、怠け者の木こりはそうだと言ってうなずいた。泉の精は怠け者の木こりに斧を渡した。怠け者の木こりはその斧を持って家に帰り、泉で起こったことを女房に話した。すると女房は空の鍋をつかんで振り上げた。おまえがなくしたのは金の斧だ、おまえがなくしたのは銀の斧だ、と叫んでから、鍋を怠け者の木こりの頭に打ちつけた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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