Flight World War II
2015年 アメリカ 86分
監督:エミール・エドウィン・スミス
ダラス発ロンドン行きのインターナショナル航空の旅客機は大西洋上で謎の雲に遭遇し、雲の中心にある青い穴を超えると衛星回線がすべて消え、航空管制との接触も絶え、陸地の形状から現在地を確認するために高度を下げるとドイツ軍が爆撃をしていて、たまたま同乗していた歴史学者たちは土地の形状と軍事記録から現在地はレンヌ周辺で、ただし時間は1940年の6月だと主張すると常識のある機長はもちろん反発、ところがイギリス軍との交信に成功して確かめるとやはり第二次大戦中だということになり、そのことを知った乗客の一人は歴史を変えられる、飛行機をハイジャックしてベルリンへ飛び、みんなでヒトラーを殺そうと扇動を始め、すぐに取り押さえられるとドイツ軍のMe262が編隊で現われて襲いかかり、攻撃をかわしながらなおもイギリス軍との交信を続けるとダンケルクの撤退が失敗に終わっていることが判明し、歴史学者たちは異なる時間線にある戦場だと主張、どうやらこの世界の連合軍はレーダーの開発に失敗しているらしい、ということで旅客機のレーダーを切り離し、モニターとバッテリーをつけてドイツ軍占領地域に投下、地上では無線を傍受していたドイツ軍とイギリス軍の戦闘になり、旅客機のほうはMe262の執拗な追撃を受けて副操縦士が負傷、機体は銃撃で穴だらけになり、レーダーを回収したイギリス軍の誘導でなおも飛行を続けるが、燃料は残り10分になっている。
もちろん『エアポート』シリーズとはなんの関係もない。タイムスリップして現代テクノロジーを連合軍に渡すというアイデアは最近の『USS ライオンフィッシュ』でやっていたが(流行りなのか? そう言えば『ミスフィッツ』でも似たようなエピソードがあったけど)、こちらは責任感のある機長がいちおうてきぱきと指示を出し、乗員もまじめに仕事をして(LCCだからなのか、危険な乗客への対応も早い)、乗客もおおむね協力的で、被弾して着陸脚が動かなくなると乗客の中からエンジニアを見つけて修理して、という具合で余計なことにあまり時間を使わない。いわゆるThe Asylumの作品だが、意外なことに破綻しないで最後まで話を持たせる上に、ちゃんと水準をクリアしている。客室係役のアクィーラ・ゾールが自然にふつうのお姉さんでいい感じ。
Tetsuya Sato