2015年9月25日金曜日

6才のボクが、大人になるまで。

6才のボクが、大人になるまで。
Boyhood
2014年 アメリカ 165分
監督:リチャード・リンクレイター

父親のメイソン・シニアが責任を放棄してアラスカへ旅立つので、残された母オリヴィアと姉サマンサ、そして六歳になるメイソン・ジュニアは大学に戻るという母親の宣言に引きずられてヒューストンに引っ越し、いつの間にかアラスカから戻ってきたメイソン・シニアとときどき会いながら成長を続け、母親は大学の指導教官ビル・ウェルブロックと再婚、一家は義父の連れ子二人をあわせて六人家族となり、姉は姉で女同士、弟は弟で男同士、それなりに仲良くやっていると義父がいつの間にかアルコールに浸り始め、気がついたときにはDV亭主と化していて、耐え切れなくなったオリヴィアは自分の子供二人を連れて脱出し、子供たちはまた転校、オリヴィアは修士課程を終えて大学で教えるようになり、今度はその教え子でイラク戦争の帰還兵と結婚、子供たちはメイソン・シニアとの交流を続けながら成長を続け、思春期を迎えたメイソン・ジュニアにも恋人ができ、姉は大学に入って家から離れ、やがてメイソン・ジュニアも高校を卒業して家を出ることになる。
同一キャストで12年間かけて撮影したという家族ドラマ。着想はともかくとしても、このやり方は異端であろうという気もしないでもないが、六歳の男の子が十八歳の無精ひげを伸ばした小僧へと現実に成長していくリアリズムには安易な批評を拒む迫力がある。リチャード・リンクレイターの構成、演出はいつもと同様にリズミカルで心地がよく、3時間近い長尺で地味な素材を扱っているにもかかわらず、するするとあとにつながっていく。それにしてもこの母親の行動は息子が言うように支離滅裂であろう。 


Tetsuya Sato