2015年9月19日土曜日

カリフォルニア・ダウン

カリフォルニア・ダウン
San Andreas
2015年 アメリカ 114分
監督:ブラッド・ペイトン

ロサンゼルス消防局の救難隊員ドウェイン・ジョンソンが離婚の危機を迎えていたころ、ネバダ州で巨大地震が発生してフーバーダムが崩壊、たまたまその場で電磁パルスの観測をしていたカリフォルニア工科大学の教授ポール・ジアマッティは地震の予知が可能であると確信し、大学に戻ってインタビューにこたえようとしていると助手たちが飛び込んできて電磁パルスの異常を報告、ポール・ジアマッティが地図の上にサインペンで線を引いてサンアンドレアス断層で巨大な地震が発生するのを予知したころ、ドウェイン・ジョンソンの妻カーラ・グギーノはロサンゼルス市内の高層ビルの最上階で再婚相手の姉と食事をしていて、その瞬間、巨大地震が起こって周辺の高層ビルが次々と倒壊、妻はドウェイン・ジョンソンを電話で呼び出し、救難ヘリコプターを修理するためにたまたま一人で飛行していたドウェイン・ジョンソンはただちに妻の救出に向かい、都合よく装備された謎のホバリング機能を使ってたちまち妻を救出すると、今度は娘を救うためにサンフランシスコを目指し、もちろんドウェイン・ジョンソンの判断なのでロサンゼルス消防局もこの勝手な判断の成功を祈り、ポール・ジアマッティの予言どおりにサンフランシスコにも巨大地震が襲いかかると娘アレクサンドラ・ダダリオはたまたま出会ったイギリス人兄弟とともに崩壊する市内を逃げ惑い、一方、ドウェイン・ジョンソンのヘリコプターはギアボックスの故障で墜落、無傷で機体から逃れた夫婦は当然のように出現した窃盗団から車を奪って北を目指し、途中サンアンドレアス断層に行く手を阻まれると飛行機に乗り換えてサンフランシスコ上空に到達、飛行場が壊滅しているのを見ると夫婦でタンデム降下を決め、難なく地面に降り立ったところで再び地震が襲いかかり、ドウェイン・ジョンソンは逃げ惑う人々を安全な場所に誘導してから娘を探して出発するが、火災で道がなくなっているところを見ると迂回路を求めてボートに乗り、すると待ち構えていたように巨大な津波が襲いかかり、ドウェイン・ジョンソンは津波に向かってボートを疾走させてコンテナ船から崩れ落ちるコンテナの滝をくぐり抜け、ドウェイン・ジョンソンから妻を奪おうとした極悪人ヨアン・グリフィスは分相応の最期を遂げ(もっと悪事を働くのではないかとものすごく期待していたのに)、津波の危機を乗り越えたドウェイン・ジョンソンとその妻は水浸しになったサンフランシスコの町へボートを進めて娘の姿を探し求める。 
言うまでもないがドウェイン・ジョンソンがドウェイン・ジョンソン、ポール・ジアマッティがポール・ジアマッティ。役名がいちおうあったはずだが覚えていない。天然のバイアグラであるところのドウェイン・ジョンソンの力だけで立っている映画で、ドウェイン・ジョンソンの肉体と意志があまりにも強靭なので、まわりの建築物はとにかく脆弱ぶりをさらさずにはいられない。例外は悪名高いウォルター・ホワイトの母校であり、シェルドン・クーパーとその一味が巣食うカリフォルニア工科大で、ここは大地震になんどさらされてもガラスの一枚も割れないし本棚の一つも倒れない。理由は簡単で、ポール・ジアマッティが「ここは大丈夫」と宣言したからである。冒頭で披露されるUH-1のトリック飛行は面白いし、そのあとのフーバーダム崩壊からクライマックスの大津波まで、災害系の見せ場は多いものの、ドウェイン・ジョンソンが災害でアクションをするための映画なので、地震の描写はおそらくめちゃくちゃであろう。そもそも内陸系の地震なのになんで津波が起きたのか。 
Tetsuya Sato