Tomorrowland
2015年 アメリカ/スペイン 130分
監督:ブラッド・バード
1964年、少年フランク・ウォーカーはニューヨーク万博の発明コンクールに乗り込んでいくが、自分で作ったジェットパックを却下されて意気消沈し、そこへ現われた少女アテナからピンバッチを渡され、アテナを追って『イッツ・ア・スモール・ワールド』のアトラクションに飛び込んでいくと奇怪な装置の前に導かれ、その機械に乗って運ばれていくと着いた場所が絵に描いたような未来都市で、それから現代、NASAの技術者を父親に持つ少女ケイシー・ニュートンはケープ・カナベラルで進行中の宇宙船発射台解体工事のサボタージュを繰り返して逮捕され、釈放されて引き取った所持品の中にピンバッチを発見、それに手を触れるといきなり野原に放り出され、彼方に見える絵に描いたような未来都市に向かって進み始めると現実世界の壁に阻まれ、あれやこれやと試行錯誤の末にとうとう未来都市にたどり着くと今度はピンバッチのバッテリー切れで現実世界に弾き返され、ピンバッチを手がかりにその手の物を扱う店を訪ねていくと謎の夫婦が現われ、怪光線に狙われ、殺人ロボットが現われ、窮地をアテナに救われたケイシー・ニュートンはアテナの導きですっかり歳を取った上にすっかりふてくされているフランク・ウォーカーを訪ねてあれやこれやと質問をするが、そこへ再び殺人ロボットが現われ、エッフェル塔は変形し、ニコラ・テスラの宇宙船が時空を超えてトゥモローランドへ突進する。
能書きの多いフランク・ウォーカーがジョージ・クルーニー、質問が多くて性差に意味を与えないケイシー・ニュートンがブリット・ロバートソン、アテナがラフィー・キャシディ。この子役のアンドロイド演技はなかなかにすごい。60年代まで我々が持っていた楽観的な未来像がすっかり失われて、いつの間にか『マッド・マックス』のような映画ばかり誉めるようになったのは異次元から送られた怪電波を浴びて破壊のイメージですっかり洗脳されていたからだという恐ろしい内容で、それと対照的に登場するトゥモローランドは60年代の悪夢のように前向きだし、エッフェル塔から飛び立つロケットは科学の力への信頼にあふれている。人類の性悪ぶりをどこかに隠しながら、それでも提示される楽観的な結末は感動的で、思わず涙した。さすがはブラッド・バードというべき仕上がりで、エンディングロールに映し出される未来世界のアニメーションがまた楽しい。
Tetsuya Sato