2015年6月15日月曜日

吸血怪獣 チュパカブラ

吸血怪獣 チュパカブラ
A Noite do Chupacabras
2011年 ブラジル 106分
監督:ホドリゴ・アラガオン

町で暮らしていたドゥグラス・シルヴァは臨月の妻マリアを出産させるために実家を訪ねるが、これがブラジル某所の山間部でどうやら電気も通じていない辺鄙な場所で、しかもしばらく前からチュパカブラが家畜を殺しているという噂があって、実際にそれらしきものを目撃しているドゥグラスの父親はチュパカブラをしとめようと銃の手入れに余念がないが、息子たちは父親の言うことをまったく信じないで、家畜を殺したのは諸般の事情から対立しているカルヴァーリョ一家のしわざに違いないと確信し、兄弟四人で町の酒場、というには語弊があるかもしれないさびれた小屋に出かけていって、チュパカブラに殺されたヤギの肉を売って酒をせしめて飲み始めると、そこへ問題のカルヴァーリョ一家の兄弟四人が現われてシルヴァ兄弟が売ったばかりのヤギの肉を食べ始めて、これがどうやらそうとうに傷んでいたようで、いきなり胆汁のような吐瀉物を吐き出し、肉を売ったのがシルヴァ兄弟だと知ると喧嘩を売ってくるのでシルヴァ兄弟も受けて立ち、流血の末にシルヴァ兄弟が逃げ出してカルヴァーリョ兄弟があとを追い、間道に逃げ込んだシルヴァ兄弟は父親が死んでいるのを発見し、これもまたカルヴァーリョ兄弟のしわざであると確信したシルヴァ兄弟のドゥグラスを除く三人は決着をつけるために銃を手にしてカルヴァーリョ兄弟の家を目指し、あとに残ったドゥグラスは父親の死体からライフルの撃針を見つけて死因が暴発にあったことを知って兄弟たちをとめるために追いかけるが、兄弟三人は銃撃戦の末に全滅し、カルヴァーリョ兄弟の生き残りはドゥグラスを見つけて追いかけてきて、そのあいだに男手のなくなったシルヴァ家にチュパカブラが現われて女たちに襲いかかり、ドゥグラスを発見したカルヴァーリョ兄弟の一人は忽然と出現した人食いに食われ、人食いはカルヴァーリョ兄弟によって退治され、そこへチュパカブラが現われるのでドゥグラスは縛られてチュパカブラをつかまえるためのおとりにされ、血の匂いに引き寄せられたチュパカブラはドゥグラスではなくカルヴァーリョ兄弟に襲いかかり、逃げ出したドゥグラスはチュパカブラの巣に転がり落ち、そこへやってきたカルヴァーリョ兄弟の最後の一人とともにチュパカブラと戦う。 
技術的な難点がところどころに見えるものの、おおむねにおいてテンションが高く、最後までパワーが持続するところは偉いと思う。とにかく血なまぐさくて流血、臓器の描写に遠慮がない。チュパカブラがどうこう、という前に人間同士がすでに殺しあっていて、だからいざチュパカブラをという話になっても、出血多量で失神するわ、それでもアドレナリンで起き上がるわ、というどたばたぶりはなかなかにすごい。チュパカブラのスーツは単純だがよくできていると思う。 



Tetsuya Sato