2015年2月7日土曜日

Plan-B/ 実験

S3-E03
実験
 科学者たちが強力な磁場の発生器を開発した。これを軍艦に積み込んで軍艦を強力な磁場で包み込めば、軍艦を敵の目から隠すことができるだろう。実験の準備が始まって、磁場の発生器が駆逐艦に積み込まれた。もちろん発生器だけを積み込んでも磁場を発生させることはできなかった。発生器に電力を供給するために強力な発電機が何台も積み込まれた。しかし発電機だけを積み込んでも電力を発生させることはできなかった。何台もの発電機を動かすためには大量の燃料を必要とした。駆逐艦の艦内はかなり手狭だったので、科学者たちは燃料タンクを甲板に作った。給油パイプが短くて済むので発電機も甲板に置くことにした。燃料タンクのバルブが開かれ、発電機が凄まじい唸りを上げ、磁場の発生器から怪しい光が放たれた。実験が始まった。ところがそのとき、風が吹いた。それほど強い風ではなかったが、駆逐艦は風の力を真横に受けて傾いた。実験のために乗員や補給品の大半を下ろしたせいで駆逐艦は異常に軽くなっていた。甲板の上に色々と物を置いたせいで風圧側面積が異常に大きくなっていた。科学者たちの無法な改造のせいで重量重心が異常に高いところに移っていた。いくつもの異常が重なったせいで、駆逐艦は復元力を失っていた。そのまま傾き続けて転覆して、科学者たちを連れて海に沈んだ。

Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.