S3-E13
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食事
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少年はそれにかぶりついた。古びたスポンジのような歯触りがした。それにはいくらかのカロリーがあり、いくらかの栄養素も添加されていたが、味はついていなかった。飲み下すのに苦労しながら、少年はそれでもそれを食べ尽くした。腹が少しばかり満たされた。だが飢餓感はかえって強くなった。少年は食べる物を求めて暗い路地から這い出した。道では大人たちが一本の煙草を回しながら待っていた。大人たちは少年を捕らえ、盗みを働いた罰として拳で散々に打ち据えた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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