S3-E17
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絵
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連続殺人犯を追う刑事のもとに新たな情報が寄せられた。殺人事件が起きるたびに、美術館の絵が変わっていくという。刑事は鼻で笑ったが、知らせてきたのが一般市民ではなくて、美術館のキュレーターだと聞いて考えを変えた。相手が学位を持つ人間なら、一応話を聞いておく必要がある。刑事は美術館を訪れて驚いた。これまでの事件の犠牲者が発見された姿をそのまま写して一枚の絵に収まっていた。しかも警察の発表から省かれた細部までが再現されている。犯人でなければ描くことはできないはずだ。夜が訪れ、美術館から人影が消える。刑事は絵の前に立って美貌のキュレーターを詰問する。困惑するキュレーターの背後に絵が迫り、時計が音を立てて真夜中を告げる。絵のなかで嵐を運ぶ雲のように色が動いた。噴き上がる色をかき分けて、斧を持った男が現われた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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