Jersey Boys
2014年 アメリカ 134分
監督:クリント・イーストウッド
フランキー・ヴァリ役のジョン・ロイド・ヤングとボブ・ゴーディオ役のエリック・バーゲン、ニック・マッシ役のマイケル・ロメンダはミュージカルからそのまま配役を引き継いでいるらしい。トミー役のヴィンセント・ピアッツァも含め、主演の四人が実に達者であった。ウィキペディアでフォー・シーズンズの項を見ると映画よりもはるかに複雑な軌跡が見えてくるが、脚本は40年近い歴史をほどよく単純化して、飲み込みやすく希釈している。各人のモノローグがどこからスタートするのか、という関心で引き寄せる手口はなかなかにうまい。音楽の使い方も含めて演出はきわめてバランスがよくて、臨機応変のカメラが登場人物の情動をさっくりとすくって、それを観客の情動に品よく投げかけながら時間を無駄にしないで進んでいく。最後の登場人物総出演によるダンスを眺めていると、非常に成功したスタンリー・ドーネンの映画を見ているような気分になる。そして監督がクリント・イーストウッドだということを思い出すと、情けないことにこういう台詞しか出てこない。いやあ、ご隠居はいつもながら趣味がいい。
Tetsuya Sato