S2-E32
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処女
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怪物は処女の生き血を求めていた。実際のところを言えば、どうしても処女でなけれなならないということはなかったし、相手が女でなければならないということもなかったし、実は動物を相手になんとか用を足すこともできなくはなかったが、怪物は処女にこだわっていた。怪物の仲間もまた、処女にこだわっていた。怪物はまだ、生き血をすすったことが一度もなかった。怪物の仲間もまた、生き血をすすったことが一度もなかった。最初に血をすする相手はなんとしても処女でなければならないとつまらないことにこだわって、幻想を果てしなく肥大させて、普通であれば掴めた筈の一切の機会から見放されて怒っていた。怒りのあまり、処女に憎悪を募らせて自分の棺に引きこもった。
Copyright ©2014 Tetsuya Sato All rights reserved.
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