Chronicle
2012年 アメリカ 89分
監督:ジョッシュ・トランク
シアトルに住む高校三年生のアンドリューは察するところ全世界に公開する意図をもって生活のすべてをビデオに録画することに決めてカメラを持ち歩くようになり、ところかまわずにカメラを向けるせいで近所のチンピラにからまれたりチアリーダーから気味が悪いと言われたり、といったような目に遭っていたが、閉鎖された農場の納屋でおこなわれたパーティにいとこで友達のマットに誘われて出かけていって、マットにカメラを置いてくるように言われたにもかかわらず、やはりカメラを持っていってパーティ会場でところかまわずカメラを向けたので不快な体験をすることになり、納屋の外でひとりで泣いているところに同じ高校のスティーブが現われ、呼ばれるままにいってみると窪地の底に穴があり、穴のかたわらにマットがいて、マットとスティーブが次々と穴へ入っていくのでアンドリューもまたカメラを抱えて穴にもぐり、そこでなにやら恐ろしいことが起こって、気がついてみると三人の高校生はテレキネシスをあやつる超能力者になっていて、さっそく三人でつるんであれやこれやと試しながら能力を磨き、まもなく車のような大きな物も動かせるようになり、自分を持ち上げることで自在に空を飛べるようになり、しかしアンドリューが考えなしに能力を使ったことでひとを傷つける結果を招くのでマットの提案でルールが定められ、しかし家庭が事実上崩壊しているアンドリューは父親の暴力に出会って追い込まれる形でよからぬ考えを抱き、さらに病身の母親の薬代を稼ぐために近所のチンピラを超能力で襲ったり、ガソリンスタンドを超能力で襲ったりといったことを始め、そこへさらに父親が暴力で追い打ちをかけ、抑えの利かなくなったアンドリューは騒ぎを起こし、アンドリューをとめるために現われたマットとシアトルの市街地で超能力合戦を繰り広げる。
ありそうな素材ではあるが、視覚的によくデザインされているし、練り込まれた脚本とまじめに手間をかけた堅実な演出が好ましいし、クライマックスの超能力戦はたいへんな迫力がある。手法としてはPOVが採用されていて、カメラの持ち手によって視点の散逸が避けられないところに多少の無理は感じるものの、超能力を獲得したあとのアンドリューは宙に浮かべたカメラを自在にあやつるので視点の制約を受けることがない、といったようにシチュエーションを生かした新機軸が盛り込まれているし、カメラがどこにもないと超能力を使ってそこらからカメラを集めてくる、という場面があって、この無理矢理ぶりには感心した。