2013年2月20日水曜日

ワン、ツー、スリー

ワン、ツー、スリー(1961)
One, Two, Three
監督:ビリー・ワイルダー

ベルリンの壁がまだなかった頃、コカコーラの社長令嬢スカーレットはベルリン滞在中に監視の目を盗んで東側を訪れ、そこで東ドイツのミサイル技術者で共産党員のオットー・ピフルと恋に落ちて秘密裏に結婚してしまう(あたしが彼のシャツを洗って、彼があたしの脳味噌を洗うの)。事実を知ったコカコーラの西ベルリン支社長マクナマラ氏は驚愕し、そこへコカコーラの社長夫妻が視察のためにやって来ると知らされて、事実を糊塗するために奔走を始める。
マクナマラがジェームズ・キャグニー、東ドイツの共産主義青年がホルスト・ブッフホルツ、社長令嬢がパメラ・ティフィン。ジェームズ・キャグニーが最初から最後まで猛烈なハイテンションで手段を選ばずに卑劣な策を弄し続けるのである。いわゆる東側のキャラクター、西ベルリン側の第三帝国を引きずったような異様なキャラクターも立ちまくり、マシンガン・トーク型のノンストップ・コメディで、ほぼ全編にわたって意地の悪い冷戦ジョークが満載されている。結末に登場する瓶のラベルにまで目が離せない傑作なのである。


Tetsuya Sato