The Outlaw Josey Wales
1976年 アメリカ 132分
監督:クリント・イーストウッド
ミズーリの農夫ジョージー・ウェルズは家族を北軍の民兵に殺害されて銃を取り、南軍側の民兵に身を投じて南北戦争に参戦する。戦後はお尋ね者となってミズーリを逃れ、途中でチェロキーの酋長が仲間に加わり、シャイアンの娘、野良犬も仲間にしながらテキサスを目指し、テキサスに入るとカンザスからの移民の老婆とその孫娘ローラも加わって、やがて一行は寂れた町の彼方にある小さな農場に辿り着く。
冒頭、ジョージー・ウェルズが家族を失う場面の寡黙な描写でまず引き込まれ、タイトルロールの背後に流れる派手な戦闘場面には思わず心を奪われる。続く敗戦後の逃避行では追っ手をかわすシャープな場面の連続がすばらしく、そのあとはほどよくユーモアを取り込みながら要所要所でそれぞれに特異な状況のガンファイトを折り込んで、最後は義理と人情でほろりとさせるという具合でとにかく見どころの多い作品である。生真面目な作りが好ましく、ブルース・サーティースの撮影もまた美しい。クリント・イーストウッドは状況に呑み込まれたまま銃を取って元に戻れなくなった男を好演している。ジョン・ヴァーノン、サム・ボトムズ、ウィル・サンプソンなどの脇役も個性豊かで、特にチーフ・ダン・ジョージ扮する負け惜しみの多い酋長が記憶に残る。淡々としている割りには口数が多くて、しかも老いてなお盛んなのである。
Tetsuya Sato