S5-E04
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倉庫
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楽に稼げると聞いて彼は話に乗ることにした。指定されたバーに夜半過ぎに集まって、全員で配送用のバンに乗り込んだ。港湾地区の倉庫街に入っていって、とある倉庫の前に車を停めた。買収された警備員が倉庫のドアを開けて待っていた。彼は仲間と一緒になかに入って、懐中電灯の明かりを頼りに目当ての物を見つけ出した。金属製の棺桶が整然と積み上げられている。一つひとつが妙に大きい。この大きさなら、どんな大男でも収まりそうだ。情報ではこの棺桶のどれかに洗浄済みの現金が小額紙幣で詰め込まれているはずだった。仲間の一人がバールを出して棺桶の山によじ登った。蓋をこじ開ける音がする。悲鳴が上がって仲間が転がり落ちてきた。首がない。懐中電灯の光を向けた。人間と昆虫の合いの子のようなものが血のしたたる顎を動かしている。それは蝙蝠のような翼を広げて仲間に襲いかかり、彼は狙いを定めずにショットガンの引き金を引いた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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