2014年9月30日火曜日

戦火の愚かなる英雄

戦火の愚かなる英雄
A Farewell to Fools
2013年 ルーマニア/ドイツ/ベルギー 84分
監督:ボグダン・ドライヤー

第一次世界大戦中に(たぶん)ルーマニア出兵に参加して(たぶん)頭部に負傷してそのまま友軍に捨てられた(と思しき)フランス兵セオドアは地元の村人に拾われて、それから30年というもの、村の阿呆の地位を占めて教会の塔で暮らしながら釣りをしたり子供と遊んだりしていたが、1944年8月、村でドイツ兵一人が何者かによって殺害され、ドイツ軍当局は犯人が名乗り出ない場合には村の有力者10名を処刑すると宣言し、当然のことながら犯人は名乗り出ないので、死の恐怖にすっかりおびえた村の有力者たちは村の阿呆セオドアを犯人にしたてることに決め、セオドアを夕食に招いて説得にかかり、セオドアがその気になってくると盛大な葬式や豪勢な棺桶、巨大な墓石などを約束し、セオドアがついに了解するとその場にいた公証人を使って契約書を作り、そこでセオドアが盛大な葬式を死ぬ前に見たいと言い始めるので有力者たちは夜中に村人を集めて葬式の予行をおこない、棺を墓場まで運んで埋葬の予行もおこない、セオドアが満足したと叫ぶのを聞いてやっと安心するが、もちろん安心するのはまだ早い、というような話で、セオドアがジェラール・ドパルデュー、村の司祭がハーヴェイ・カイテル。
ハーヴェイ・カイテルの司祭が微妙に俗っぽい感じでなかなかにいい。雰囲気なども悪くはないが、全体に泥臭い仕上がりで、こちらには見えない思い入れがあるのか、それとも単に要領が悪いだけなのか、ドパルデューのパートに余計な時間をかけすぎてたからではないかと疑っているが、周辺キャラクターの造形が単調なままで、物足りなさをなんとなく最後まで引きずっていく。


Tetsuya Sato