How the West Was Won
1962年 アメリカ 162分
監督:ジョン・フォード、ヘンリー・ハサウェイ、ジョージ・マーシャル、リチャード・ソープ
シネラマ(当時)の大作西部劇で、開拓民一家の半世紀にわたる歴史を描く。
最初にかなり長い序曲(昔流行った)があって、それからプレスコット一家が西を目指して川を進む。美人の娘二人は農業が嫌いで東部が恋しくてならないが、カール・マルデンの父親が進めと言うのでそうも言っていられない。そこへいかがわしい狩人(ジェームズ・スチュアート)が現われると長女のイブ(キャロル・ベイカー)は瞬時に恋に落ちてしまう。あれやこれやがあって川下りの途中で一家は悲惨な事故に遭い、長女は両親を葬ったその土地を開拓しようと決意する。するとそこへジェームズ・スチュアートがやってくるので二人は結婚するのであった。
一方、次女のリリス(デビー・レイノルズ)は踊り子になってサクラメントの町で暮らしていたが、親切な老人の遺言のおかけでカリフォルニアの金鉱を相続することになる。すでにゴールド・ラッシュが始まっているのである。そこで早速西を目指して幌馬車隊に加わると、財産目当ての賭博師(グレゴリ-・ペック)が寄ってくる。途中、世にも恐ろしいインディアンの襲撃などがあり、それやこれやでリリスは賭博師に惹かれるようになっていくが、金鉱がまったくのスカだったことがわかった時点で賭博師は姿をくらましてしまう。だが二人はリバーボートで再会を果たし、賭博師が実業家への転身を誓ったので結局結婚するのであった。
一方、イブはジェームズ・スチュアートの元狩人と一緒に農場をしていて、すでに二人の息子をもうけていた。ところがすでに南北戦争が始まっていて、イブは夫に加えて長男のゼブ(ジョージ・ペパード)までをオハイオ義勇軍(北軍)に送り出すことになる。戦闘で夫は戦死し、その報せを聞くと妻は虚しさを感じて死んでしまう。帰郷したゼブが見たのは両親の墓石なのであった。ゼブは農場を弟に任せ、騎兵隊に参加すべく西に向かって進んでいく。ここは監督がジョン・フォード。
ちょうどその頃、大陸横断鉄道の建設が進んでいて、ゼブはその警備を命じられる。ゼブとしてはインディアンとの協定を守って平和裏にことを進めたいところであったが、鉄道側の代表キング(リチャード・ウィドマーク)は協定を守ろうとしない。狩場の未来を危ぶんだインディアンは白人の不誠実をなじり、バッファローの大群を暴走させて鉄道の建設基地へ叩きつける。ゼブは開発の波に虚しさを感じて西を目指す。
さて、すでに老齢に達したリリスは夫亡き後、夫が残した借財を整理してアリゾナを目指す。そこにはまだ土地があったし、近所では甥のゼブが保安官をしていたのである。リリスは鉄道の駅でゼブの一家の出迎えを受ける。ところが同じ時、悪党のチャーリー・ギャント(イーライ・ウォラック)が子分を引き連れて現われた。ギャントはゼブの宿敵であり、しかも列車強盗を企んでいた。そこでゼブは銃を取って列車に乗り込み、襲撃を待ち受ける。激しい銃撃戦があり、列車は脱線転覆し、悪は倒され、そして一家はアリゾナの荒野を進んでいくのであった、というのがおおむねの本筋で、これで2時間40分。その後に現代アメリカの高速道路が映し出され、父祖の時代を称えるナレーションがスペンサー・トレーシーの声で覆い被さり、最後に終曲が入ったりする。
お金がかかっているし、すごいシーンはたしかにすごいし(バッファローの暴走はCGじゃないからね)、大作には違いないが、余計な大作ぶりが鼻につく。脚本も見せ場をつなぐための辻褄合わせだし、監督が4人も必要だったのか、その点にも疑問がある(最初の2パートと最後がヘンリー・ハサウェイ、南北戦争がジョン・フォード、大陸横断鉄道がジョージ・マーシャル、つなぎの部分がリチャード・ソープ)。オールスター・キャストもただ出しているという感じで消化されていない。結局、最初から最後まで元気に歌って踊っていたデビー・レイノルズがこの映画の主演ということになるのだろうか。
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