The Perfect Storm
2000年 アメリカ 129分
監督:ヴォルフガング・ペーターゼン
ちっぽけなカジキ漁船が巨大な嵐に突っ込んでいく、という話で、嵐と大波の描写は冗談抜きにすごかった。大迫力である。波と風にもまれるのは漁船だけではなくて、小型ヨットからコンテナ運搬船、貨物船、沿岸警備隊の巡視船と多彩であり、サイズの違いから見える波の大きさや船体の動揺の差が実に丁寧に描かれていた。どの船も美しかったが主役の漁船の美しさは特筆ものである。両舷から伸びたアームからシーアンカーを下ろして走る姿が格別であった。この漁船、吃水がほとんどないのであろう、大波の上で転覆して、まるで転がるようにしながら復原する有様は圧巻である。アイガー北壁のようにそそり立つ巨大な波に向かって目を見開いたジョージ・クルーニーの船長もよかった。マリー・エリザベス・マストラントニオも漁船の船長に扮していい味を出していた。ダイアン・レインの姿を見るのも久しぶりだが、地味な役を淡々と演じていて好感が持てる。マイケル・アイアンサイドが一人で悪役のようなことをやっていたけれど、船主という以上の理由が見当たらないのでちょっとかわいそうなのであった。演出は手際がいいし、見せる物はしっかりと見せるという徹底ぶりが嬉しい映画である。1991年に実際にあった話だということだが、実話の範囲をもう少しはっきりと示すべきだったかもしれない。
Tetsuya Sato