100万ドルの血斗
Big Jake
1971年 アメリカ 110分
監督:ジョージ・シャーマン
1909年、メキシコ国境に近いマッキャンドルの牧場をジョン・フェインが率いる無法者の一味が襲って雇い人7人を殺害、ジェイク・マッキャンドルズの孫をさらって百万ドルの身代金を要求するので、現場にいたジェイク・マッキャンドルズの妻マーサは家を出たまま戻らない夫ジェイクを呼び寄せて身代金の輸送と孫の奪還を依頼し、10年ぶりに戻ったジェイク・マッキャンドルズは自分に孫がいると聞いて顔をしかめると息子二人と馴染みのアパッチの四人でメキシコ国境を越え、ジョン・フェインの一味と対決する。
ジェイク・マッキャンドルズがジョン・ウェイン、マーサがモーリン・オハラ、ジョン・フェインがリチャード・ブーン。ジョージ・シャーマンの演出は水準はクリアしているものの、冴えはない。いちおうのツボは押さえようとした痕跡はあるが、まとめ方は要領が悪いし、たぶん必要以上にひとが死んでいるし、死に方が妙にむごたらしい。再解釈がほとんど入らないまま放り込まれたジョン・ウェインのキャラクターとそうした定式からずれたところに現われる暴力性はどうにも収まりが悪い。『マクリントック』が時代に馴染めないまま晩年を迎えるとこういうことになるのであろうか。
仕上がりのほうはともかくとしても時代の風潮を明確に意識した作りになっていて、異色な点に注目していくとこれはジョン・ウェイン主演のマカロニ・ウエスタンだと言えなくもない。時代背景が20世紀初頭に設定され、冒頭で東部と西部における文明化の度合いが無用なまでにしつこく強調され、テキサスレンジャーは自動車を使い、バイクは派手に岩場を走破し、敵対する双方がスコープ付きのスナイパーライフルで相手を狙い、セミオートマティック(ベルグマン・ベアード?)も登場する。
Tetsuya Sato